借金返済に行き詰まり、毎月の督促に疲れ果てたとき、「債務整理をすれば楽になれる」と考える方は少なくありません。しかし、軽い気持ちで債務整理に踏み切ると、想像していなかった不便に直面し、「やめておけばよかった」と後悔する可能性があります。
債務整理で必ず起こる「ブラックリスト入り」の影響
債務整理を選択すると、例外なく信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」状態です。この影響は想像以上に広範囲に及びます。
クレジットカードが一切使えなくなるだけでなく、新規の借り入れやローンも組めません。車を買いたくてもローンが通らず、住宅購入の夢も先延ばしになるでしょう。
信用情報への事故情報の登録期間は、自己破産や個人再生で5年から10年、任意整理でも完済から5年程度とされています。
「5年くらいなら我慢できる」と最初は考えていても、実際に不便を経験すると話は別です。いざという時にローンが組めない辛さは、体験してみないとわからないものでしょう。
日常生活で感じる具体的な不便
ブラックリスト入りによる影響は、金融取引だけに留まりません。
- 携帯電話の機種変更で分割払いができず、高額な一括購入を迫られる
- 賃貸契約で信販系の保証会社を利用する物件の審査に通らない
- 子どもの奨学金の保証人になれない
- ネットショッピングでクレジットカード決済ができず、購入を諦めることも
デビットカードやQRコード決済などの代替手段はありますが、完全にクレジットカードの代わりになるわけではありません。オンラインサービスの中には、クレジットカードしか受け付けないものも存在します。
保証人への影響を軽く見てはいけない
債務整理を行うと、保証人や連帯保証人に請求が移ります。これは任意整理、個人再生、自己破産すべてに共通するリスクです。
特に個人再生や自己破産では、保証人への一括請求を避けることができません。親族や友人に保証人になってもらっている場合、その人たちに多大な迷惑をかける結果となります。場合によっては、保証人自身も債務整理を検討せざるを得ない状況に追い込まれるでしょう。
「返済できなくなったら保証人が払うのは当然」と割り切れる人は少ないはず。人間関係の破綻につながるリスクも十分に考えなければなりません。
債務整理の種類別に見る具体的なデメリット
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があり、それぞれに固有のデメリットが存在します。選択する手続きによって、生活への影響の大きさは異なるのです。
| 手続き | 主な固有デメリット | 影響の大きさ |
|---|---|---|
| 任意整理 | 大幅な減額は期待できない、交渉が不成立になる可能性 | 比較的小 |
| 個人再生 | 官報掲載、手続きに1年以上かかる、最低100万円は返済義務が残る | 中 |
| 自己破産 | 財産処分、職業制限、官報掲載、手続き中の移動制限 | 大 |
任意整理を選んでも楽にならない可能性
任意整理は債権者との交渉によって将来利息をカットする手続きですが、元金自体は減りません。借入額が大きい場合、月々の返済負担はあまり変わらないことも。
さらに、債権者が交渉に応じる義務はないため、低収入や借入期間が短いケースでは和解が成立しないリスクもあります。「債務整理をしたのに状況が改善しない」という最悪の結果も起こり得るのです。
自己破産は代償が最も大きい
自己破産を選択すると、持ち家や車などの財産は原則として処分されます。生活を立て直すどころか、住む場所や移動手段を失う可能性さえあるでしょう。
手続き中は弁護士や司法書士などの一部職業に就けなくなり、引っ越しや旅行にも裁判所の許可が必要になります。生活の自由が著しく制限されることを覚悟しなければなりません。
「後悔している」人たちの生の声
債務整理を経験した人の中には、後悔を感じている方も一定数存在します。
ネット上の声を見てみると、ある40代男性は「最初は5年間カードが作れなくても大丈夫だと思っていましたが、いざという時にローンが組めないのは本当に辛い」と語ります。
別の30代男性は「車を購入する時にローンが組めず、債務整理をせず自力で完済を目指すべきだったと後悔している」と述べています。
50代女性からは「年月が経ってもクレジットカードが作れないのは不便。もっと節約の方法があったように感じる」という声も。一時的な負担軽減のために選んだはずの債務整理が、長期的な不便をもたらしているのです。
債務整理をしない方がよいケース
すべての借金問題が債務整理で解決するわけではありません。以下のようなケースでは、債務整理を避けた方が賢明でしょう。
借入額が少なすぎる場合
借金総額が30万円程度と少額の場合、債務整理にかかる弁護士費用の方が高くつく可能性があります。
費用倒れになってしまえば、かえって負担が増える結果に。自力での完済を目指す方が現実的です。
近い将来ローンを組む予定がある場合
住宅購入や車の買い替えを控えている方は、債務整理を待つべきです。ブラックリスト掲載期間中はローン審査にほぼ通りません。
人生の重要なイベントを諦めるリスクを冒してまで、今すぐ債務整理をする必要があるか慎重に考えましょう。
一時的な収入減が原因の場合
病気や失業など一時的な理由で返済が苦しくなっている場合、状況が改善すれば返済を続けられるかもしれません。公的な貸付制度や緊急小口資金の利用も検討する価値があるでしょう。
それでも債務整理すべき人の特徴
デメリットがあるとはいえ、債務整理が最善の選択肢になるケースも確かに存在します。
年収の3分の1以上の借入れがある、利息が膨れ上がって元金が減らない、2か月以上滞納している。こうした状況では、放置すればするほど事態は悪化します。最悪の場合、裁判を起こされて財産を差し押さえられる可能性も。
月々の返済額が収入の大半を占めているなら、突然の出費や収入減に対応できず、生活が破綻するリスクがあります。すでに自転車操業に陥っているなら、早めに専門家へ相談すべきでしょう。
後悔しないために考えるべきこと
債務整理を検討する際は、専門家への相談が不可欠です。弁護士や司法書士に相談すれば、自分の状況に最適な解決方法を提案してもらえます。
相談時には、想定されるデメリットと生活への影響について詳しく説明を受けましょう。クレジットカードが使えなくなる期間、ローンが組めなくなる期間、保証人への影響など、具体的な情報を把握することが重要です。
また、債務整理以外の選択肢がないかも確認しましょう。過払い金が発生していれば、借金を減らせる可能性があります。家計の見直しや副業による収入増加で、自力返済の道が開けるかもしれません。