霧 の 会




961年に新章文子が「仁木悦子を中心に推理小説を書く女ばかりの会合をもとう」と考えたことがきっかけで作られた親睦団体。
「霧の会」とは「霧」のもつミステリアスなムード、また女性らしいムードに加え、キリという発音のシャープさが会員たちに気に入られたところからつけられた。
発足時の会員は仁木、新章、夏樹、南部、藤木、園田、芦川、宮野の8名。

霧の会メンバー
氏名 生年 プロフィール
仁木 悦子 1928〜1986 霧の会の中心人物兼会計。
1957年に「猫は知っていた」で第3回江戸川乱歩賞受賞。
プロフィールはコチラ
新章 文子 1922〜2015 霧の会の発案者。本名・中島光子。
1959年に「危険な関係」で第5回江戸川乱歩賞受賞。
代表作は「危険な関係」「青子の周囲」
夏樹 静子
(夏樹しのぶ)
1938〜2016 霧の会の名付け親。本名・出光静子。五十嵐均は実兄。
代表作は「Wの悲劇」「わが郷愁のマリアンヌ」
南部樹未子
(南部きみ子)
1930〜2015 本名・南部キミ子。樺太の豊原生まれ。
代表作は「狂った弓」「乳色の墓標」
藤木 靖子 1933〜1990 本名・石垣靖子。高松生まれ。
代表作は「隣りの人々」「危ない恋人」
園田てる子
1927〜1976 埼玉県生まれ。推理小説のほか、官能小説も描く。
代表作は「愛の断章」「うずき」「しびれ」「もだえ」「ゼラニウムの花」
芦川 澄子 1927〜2014 本名・古屋浩子。故鮎川哲也元夫人。
代表作は「愛と死を見つめて」「マリ子の秘密」
宮野 村子
(宮野 叢子)
1917〜1990 本名・津野コウ
代表作は「鯉沼家の悲劇」「恐ろしき弱さ」
デビューは紅生姜子名義の「柿の木」。
曽野 綾子 1931〜     本名・三浦知寿子。東京生まれ。三浦朱門夫人。
代表作は「天上の青」「神の汚れた手」「遠来の客たち」
水芦 光子
1914〜2003 金沢生まれ。室生犀星の弟子。
代表作は「雪の喪章」「水の花火」「雪かとおもふ」
戸川 昌子 1933〜2016 シャンソン歌手。東京生まれ。
1962年に「大いなる幻影」で第8回江戸川乱歩賞受賞。
代表作は「大いなる幻影」「猟人日記」


「霧の会」暦
資料によって情報に違いがありますが、このページでは『猫と車イス』を主に作成しています。
年月日*2 出来事
発足式 1961/09/25 参加者は仁木、新章、夏樹、南部、藤木、園田。原田裕氏(当時、東都書房)も参加。
1961/10/18 参加者は仁木、新章、南部、藤木、園田、宮野。馬場氏(宝石社)も参加。
ゲストに江戸川乱歩*2*5
(「江戸川乱歩と大衆の二十世紀」展展示の「仁木悦子より乱歩宛の御礼状」が、翌日(10/19)筆の文面)
(ゲストに樹下太郎、大坪直行(旧『宝石』編集長)*1*6)
1961/11/10 参加者は仁木、新章、南部、藤木、園田、宮野。馬場氏(宝石社)も参加。*2
(ゲストに江戸川乱歩。*6)
1961/12/12 忘年会をかねてすき焼きパーティー。参加者は仁木、新章、南部、藤木、園田。
ゲストに多岐川恭。*2
(ゲストに佐野洋、結城昌治*1)
1962/01/24 ゲストに佐野洋、結城昌治。*2
この回より曽野氏加入。ちらし寿司にて会食。*6
1962/02/21 ゲストに笹沢左保、河野典生。*2
1962/03/16 ゲストに星新一、都筑道夫。*2
子供の頃の愛読書などを談義。*6
1962/04/25 ゲストに大原富枝。*2
1962/05/12 ゲストに寺山修司・九条映子夫妻。*2
1962/06/15 ゲストに岩淵氏・近藤氏(共に中央公論社)。*6
10 1962/07/17 曽野綾子の葉山の別荘にて会合を開く。*2*6
参加者は仁木夫妻、原田裕夫妻、五十嵐均(夏樹氏の実兄)、夏樹、南部、藤木、園田他。*6
11 1962/09/18 ゲストに平瀬文子(監察医)。 この回より戸川氏加入。*6
12 1962/10/26 新宿『メイフラワー』にて「他殺クラブ」との合同会合。
参加者は仁木、新章、曽野、南部、戸川、夏樹、藤木(以上「霧の会」)、
多岐川恭、佐賀潜、星新一、高橋泰郎、佐野洋、樹下太郎、三好徹、都筑道夫(以上「他殺クラブ」)*6
13 1962/11/09 六本木『ブリヂストンクラブ』にて「不在クラブ」との合同会合。
参加者は仁木、新章、曽野、戸川、夏樹、藤木、芦川(以上「霧の会」)、
小島直記、陳舜臣、飛鳥高、久能啓二、海渡英祐、原田裕他(以上「不在クラブ」)*6
14 1962/12/13 すき焼き忘年会。 この回より水芦氏加入。*6
15 1963/01/24 参加者は仁木、南部、園田。*2
16 1963/02 ゲストに佐賀潜。*6
17 1963/03 ゲストに千代有三。*6
18 1963/04 ゲストに山川方夫。*6
19 1963/05/09 横浜『ニューグランドホテル』にて会食。
参加者は仁木、新章、曽野、戸川、夏樹、南部、園田、水芦。*6*7
20 1963/08/01 五十嵐邸にてコーラス練習。
参加者は仁木、新章、戸川、夏樹、南部、藤木、園田、五十嵐夫人。*6
21 1963秋 村山貯水池へピクニック旅行。
参加者は仁木、藤木、南部、園田、芦川、戸川。*4
(『宝石』1963.11 「霧の会のコーラス旅行」グラビア掲載。)
22 1963/10/08 伊香保旅行。
参加者は仁木、新章、夏樹、藤木、園田、水芦。
この2週間後、夏樹氏が結婚、新居の福岡に向かう。*6
23 1963/11/14 ゲストに原田裕。*6
24 1963/12/12 すき焼き忘年会。 ゲストに高木彬光。
参加者は仁木、新章、曽野、戸川、南部、藤木、水芦。
この時高木氏は「女の会は一年も続かない。」という予言の罰金として「霧の会」に寄付金を贈る。*6
25 1964/03
26 1964/04/10 ゲストに鮎川哲也、藤村正太。*2*6
この年の秋に、鮎川氏と芦川氏が結婚。*6
27 1964/07
28 1964/09
29 1964/11
30 1965
31 1965
32 1966
33 1966
34 1967/05/15 新宿のレストラン「メイフラワー」にて会合を開く。
参加者は仁木、新章、藤木、南部、園田、芦川、水芦、戸川。*2
(これ以降の霧の会関連の記述記事はなく、自然消滅のかたちを辿る。*2)
35 1968/05/21 これ以降の霧の会関連の記述記事はなく、自然消滅のかたちを辿る。*6


        別途資料等がある方、管理人までご一報いただくと助かります。

<参考資料>
*1 『増刊・推理』1972.12 推理界交遊録 霧の会(新章文子)より。
*2 『猫と車イス』後藤安彦著 仁木悦子日記他より。
*3 『日本探偵作家クラブ会報』No.170 「霧の会」発足について(仁木悦子)より。
*4 『続続推理文壇戦後史』山村正夫著 仁木悦子を中心に女流推理作家を集めた「霧の会」より。
*5 『日本推理作家協会会報』No.457 仁木さんと霧の会の思い出(夏樹静子)より。
*6 『幻影城』1975.10 霧の会のことなど(藤木靖子)より。
*7 『小説現代』1963.8 今月のパーティー・「霧の会」例会(仁木悦子)より。